チラシ集客術

遠江(とおのえ)です。

私のクライアントさんのなかに「おそうじ業」を開業している方がいらっしゃいます。

Bさんと仮にしておきましょう。40代の女性です。

家や店舗の掃除を、プロのスキルで請け負うサービス業ですね。

私の富系セミナーに来て、熱心に学んでいる表情が印象的でしたが、給料をもらう立場を離れて、自分で稼ぐ世界に飛び込まれたのです。

お金持ちになるには必須の選択です。

まずは無料で知り合いの施設をそうじさせてもらったり、チラシをつくって配布したり、慣れないパソコンを使って文章を書いたりする毎日です。

独立した喜びと同時に、底知れぬ不安も押し寄せている時期に、電話面談をさせていただきました。

「不安のありかは『集客』ですか?」と訊いたら、そうだとおっしゃったので、予想通りでした。

なので私たちは開業したての「そうじ業」における「集客」について、作戦を練ったのです。

◆チラシ集客

彼女は個人事業なので、自宅開業です。

人口11万人の地方都市ですがここ20年で大都市のベッドタウンとして整備された街でもあります。

こういう狭いエリアで相手のところに出向いてサービスする商売では、集客のスタートはチラシが主体になります。

広告は経費がかかるし、紹介はまだ実績がないので、まずはポスティングや手配りのチラシで客を取らないといけないのです。

ただ、このチラシというのは私のマンションにもよく入っていますが、ほぼゴミ箱行きです。

みんなそうしているらしく、うちのマンションでは最近集合ポストのすぐ横に大型のゴミ箱が設置されました。

部屋の中まで持って入りたくない、という住民ニーズに応えたものでしょう。

だから、チラシで「Not Read」の壁を越えるのはたいへんなのです。

つまり、そもそも読まれないわけですよね。

成約するには「読ませて」「信じさせ」「動かす」必要があるわけですから、まず一個ずつ超えなければなりません。

◆ヘッドコピー

私の目で見て、「読ませるチラシ」というのは極めて少ないですが、それは広告のつくり手が「ヘッドコピーの智慧」を知らないからです。

「ヘッドコピー」というのは、チラシの一番上に大文字で書いてある言葉のことですね。

この「ヘッドコピー」の使命は、「その下を読ませる」ことにあり、すべてをそこに集中しなければならないのです。

ヘッドコピーが甘いと、その瞬間、チラシはゴミ箱行きです。だから一瞬の勝負に勝たなければ、その先はありません。

一目見て、相手の心に入っていくコピーをつくるには、「インパクト」「ベネフィット」「コンパクト」の3つが必要だと私は考えています。

「衝撃度」「自分にとっての利益度」「短縮度」が弱ければ、一瞬の真剣勝負に負けて、ゴミ箱行きになるということです。

たとえば、この一瞬の真剣勝負に勝ったヘッドコピーにこのようなものがあります。

保険会社の営業マン相手にセミナーのチラシを配って、見事に満員御礼にしたヘッドコピーです。

「コーチング?コミュニケーション?
 それよりも、すぐに使えるセールスの技を教えてくれ!」

「そう言っていた営業マンが、
 この手法を取り入れた途端に、10%アップの業績を…。」

これはいま年商5億のコーチ・コンサル業をしている北野哲正という人が、駆け出しの頃に当てたコピーです。

実際のヘッドコピーは上の二行です。ヘッドコピーを受けた下の二行は、もっと小さな文字で書いています。

これは、疲れて帰ってきた営業マンたちが、「コミュニケーション・コーチ」なるどこの馬の骨かもわからない若者からチラシを受け取ったときの図星の本音を先に言い、そのあとそれを裏切るような鋭いベネフィットで心をつかんで、一瞬の勝負に勝ったのです。

◆読まないという壁を越える

あと、年商一千万円を越す整体院を開業している島山貴宇という人が、チラシのヘッドコピーの良い例・悪い例をこう挙げています。

◯「まだガマンしますか?そのつらい腰痛」
✕「お試しください。腰痛に効く◯◯整体」

言葉のインパクトがぜんぜん違うので、上のヘッドは次を読ませますが、下のほうはゴミ箱行きですね。

「まだガマンしますか?」という言葉に、「うちは治せますよ」というベネフィットがにじみ出ています。

そして一行で目を留めさせるコンパクトさがあるわけです。

◯「警告。そのリフォームちょっと待った!」
✕「安心のリフォームは私たちにお任せください」

上は、リフォームをやろうと思っている人に、「ん?なにがマズイんだろう」と興味を持たせるインパクトがあります。

下は平凡でベネフィットも弱いですから、ゴミ箱行きです。

チラシはとにかくヘッドで目を引かなければ一巻の終わりです。

勝負は一瞬で決まるので、その一瞬に賭けなければならないのです。

そういう意味で、マンションにたくさん入れられているチラシの99%は、ヘッドが弱いです。

だからBさんに知ってもらいたいのは、ヘッドの大切さと、真剣な取り組みの必要性です。

実際は、何度も試行錯誤して、反応のいいヘッドを徐々につかむという努力が不可欠になります。

◆信じないという壁を越える

ヘッドで「Not Read 」の壁を越えたら、次は「Not Believe」の壁を越えなければなりません。

信じてもらうためには「不安」を解消しなければなりません。

おそうじ業の場合、初めて依頼する人にとっては、どんな人が来て、どんな作業でどれぐらいかかるのかがわからず不安なものです。

だから、安心させるために自分の人となりをさりげなくアピールしたり、掃除作業を「疑似体験」できるような表現を工夫したり、体験したお客様の声を載せたりする必要があります。

「自分という人間」「疑似体験」「体験者の声」の3つです。

「自分という人間」を上手に開示して安心してもらうためには、「笑顔の写真」や明るいメッセージを入れる方法が有効でしょう。

「疑似体験」してもらうためには、「作業中の写真」あるいは、客目線での時間経過を入れた説明、などの創意工夫がいるでしょう。

「体験者の声」では、使用前・使用後の効果について語ってもらうと説得力が増すはずです。

つまり、「Not Believe 」の壁を越え、信じてもらうためには、コンテンツの中身にさまざまな工夫を入れて、相手の不安を解消し、興味を倍加させればよいのです。

見込み客はお金を出す気になればなるほど、次々にいろんな不安が出てくるものです。

次々現れるであろう「不安」を予測して、一つずつ解消していくことで、「信頼」を獲得することができるのです。

◆動かないという壁を越える

読んでもらい、信じてもらったら、最後に動いてもらう必要があります。

チラシを見て、こちらに電話をかけてもらって、はじめて成約するわけですよね。

ちなみにネットでセールスレターを読んで買う気になり、購入ページに行った客が実際に買うのは50%と言われています。

だから、その気になっても、結局動かないというリスクがまだ半分あるわけです。

それを越すために、チラシの限られたスペースでやれることはそう多くありません。

すでに「ヘッドコピー」「コンテンツ」でかなりのスペースを使って、残りは下の数センチしかありません。

一発必中で相手を動かさないと、ここまで来たことが水の泡になるのです。

ここでの王道は「特典」です。

このチラシを見て、すぐ電話して成約してくれることへの魅力ある「特典」を何か出すのです。

特典アイテムはそうたくさんはなく、「値引き」か「無料」が中心になるでしょう。

「このチラシを提示していただければ何割引き」とか、

「無料相談」「無料サービス」「無料サンプル」という手法です。

これは無料でおこなった後、価値を感じてもらい、有料サービスに移行するためのいわば撒き餌です。

◆「無料」の力

Bさんと話していて、おもしろい事象に出会いました。

あるお宅に掃除に入って、窓ガラスを磨いたところ、お客の奥さんが、「あら、こんなにきれいになるんだったら、風呂場もお願いしようかしら」と言って、クロスセルが自然に成立したのです。

「クロスセル」とは「連れ売れ」のことですね。

ちなみに一部屋掃除したら13,000円のところが、気に入ってもらって3LDK全体を掃除したら68,000円と4〜5倍になるのです。

だから、安いアイテムを無料でサンプル受注し、精魂込めてサービスすると、「無料でここまでやってくれるのか」という感動を呼んで、大きな受注につながりやすいのです。

実際、お客様は初めて掃除依頼をしているわけですから、「ちょっと試してみていいかどうか確かめたい」という心理は当然あります。

しかも、掃除にお金を払うぐらいですから、裕福な家庭である可能性が高いので、いい仕事を見せれば自然な受注につながる可能性は大なのです。

さらに裕福な家庭は、別の裕福な家庭と友達であることが多いので、「紹介」という最も成約率の高いマーケティングに移行できるかもしれないのです。

だから「無料特典」は十分に集客の武器になりえます。

◆結論

このように、集客のためのチラシには、実はさまざまな智慧が必要です。

しかも、ポスティングレベルの競争なら、いまはそんなに智慧のあるチラシはありませんので、創意工夫すれば十分な競争優位に立てる可能性があります。

Bさんの掃除業においても、同じ商圏に月商200万円を稼いでいるおばちゃんがいるそうですが、私の予想ではチラシに「ヘッドコピー」「コンテンツ」「特典」の創意工夫をしているとは思いません。

マーケティングの智慧を駆使することで、十分に競争優位に立てますし、それ以上に、多くの見込み客を開拓して、市場のパイを広げることができ、業界全体を発展させることもできるのです。

おばちゃんに月200万円機嫌よく稼いでもらって、こちらは月500万円稼ぐことも夢ではないのです。

起業したてのときは、誰しも開業の喜びと集客の不安が同時にやって来るものです。

しかしその不安を解消する「智慧」という光があるのです。

私はお金に不安のある人に、陽だまりのような智慧の光を届ける仕事をしています。

この記事が、なにかあなたのお役に立っていれば幸いです。

ではまた。

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