セミナー会場における場のつくり方
遠江(とおのえ)です。
富を得ることに関心をもつ人は、みな勉強熱心なので、セミナーの類にもよく行くし、自分でセミナーを開く人も多いと思います。
私は今まで少なくとも千回はセミナーを開き、海外でのものを併せれば、のべ五万人の受講者にお話してきました。
その数多い体験のなかで、セミナーの成功に極めて大事な秘訣であるが、誰も言わないのが「セミナー会場における場のつくり方」です。
これからセミナーをやる人には直接の智慧になると思いますし、受ける方の人ではいいセミナーを吟味する指標にもなると思います。
◆机と椅子の配置
セミナー会場の机と椅子は、適切な配置で整然と並べることが、場づくりの根本です。
当たり前のことだと思われるでしょうが、驚くほど多くの方がこれをなおざりにしています。
たぶん会場設営係がやったのを、そのまま使っているのでしょう。
しかし、適切でない配置で乱れて並べられた机・椅子でやるというのは、アウェイの場で試合をするのと同じぐらい力が出ないものなのです。
たとえば、前の方に横に平べったく並ばれた、うなぎの寝床のような会場で話せますか?ということですね。
これは極端なわかりやすい例ですが。
あるいは演台に近すぎたり、遠すぎる配置で並ばれると、ひじょうにやりにくいものです。
座席というのは人が入っていないときはそれほど配置が気になりませんが、いざ人で埋まると集合念とのやり取りですから、配置が悪いとほんとうに説得しづらくなります。
だから、会場設営側とは事前に適切な配置について、よくリクエストしておくべきなのです。
それから机イスが「整然と」並べられているかどうかは、お客様が部屋に入った瞬間感じるグレード感を大きく左右します。
机も椅子の、タテ・ヨコの線がきっちり揃って並べられていれば、高級感が出ますし、少しでも乱れていれば安物っぽく感じるのです。
だから私は百人規模までのセミナーなら、始まる何時間か前に会場入りして、場内を見回りながら、机イスの最終チェックをしています。
経営の神様・松下幸之助が、京都の真々庵に大勢の人を招くとき、座布団の配置にまで気を配った逸話は、商談でも場づくりによって成果が変わってくることを熟知されていたからです。
セミナーでは、机と椅子の配置と並べ方を決してナメてはなりません。
◆念いの結界づくり
あと私は完璧な配置を決めた会場で一人にしてもらい、じーっと場を感じ取っていますと、ひじょうに会場内をぐるぐる回ってみたくなり、よくそうしていました。
なぜか時計の反対回りに回っていたのですが、その理由はよくわかりません。
ただ、セミナー前のとても研ぎ澄まされた感覚のなかで、とてもそうしたくなったのでそうした、わけですし、それが必要なこともわかっていました。
とにかく気が済むまでセミナー会場内を、時計と反対回りに延々と回るのが、私のよくやる儀式です。
それを私は「念いの結界づくり」だと理解しています。
これから多くの方をお迎えして、一つのエネルギー磁場をつくり、その方々を善く導こうとしている。
そのためには最初からその磁場を高めておくにしくはない。
それをやるための最も効果的な方法は、自分で善念を出しながら会場内を回ることである。
それで必ずよき結界磁場ができる。
そう思って、インスピレーションを受けるままに、気が済むまでぐるぐる回っていたのです。
いまだになぜ時計と反対回りなのかはわかりません。
◆視界の基本設定
いよいよセミナーが始まると、大勢の方を相手にするので、どういう視界で喋るかがひじょうに大事だ、というのが私の考え方です。
結論を言えば、視界はつねに会場全体を収めておくことが秘訣となります。
つまり、視界の中央に観客が来るようにし、視界の上部・下部は会場全体を収めるようにするのがコツです。
正しく全体を眺めながら、自分の喋りでエネルギーを放出するから、会場全体の磁場が上がるのです。
そしてだいたいの演者は視界が低いのです。
観客は見ていますが、会場全体を見れていない人が多いです。
そうすると不思議なもので、会場全体の磁場を創るというより、観客の反応を気にして話を置きにいくようになります。
「置きにいく」というのは、自分の投球ができずに、相手におもねった球しか投げれない状態を指します。
私もこの視界の秘密を知ったのは、かなりセミナー経験を積んでからですが、これをマスターしてからは「開眼した」と言っていいほど観客の反応が上がりました。
それぐらい「見る」という行為は、人間にとって基本的なものなのです。
正しく場を創るためには、正しく見れていなければなりません。
◆対話型講話
あと、セミナーで場を創るには、受講者と対話することが不可欠です。
必ずしも一人ひとりを当てて、個別に喋ることを意味しておりません。
みんなの顔を見ながら、その反応に応じてこちらの喋る内容を変えていけということです。
あらかじめつくってきた台本を読みながら話をするのでは、場は一切つくれません。
ぜんぶ読まなくても、台本に拘束された話をするのでも、場はうまくつくれないはずです。
それはなぜかというと、観客と心の交流ができていないからです。
あなたはお茶を飲みながら話をするとき、決められたトークをそのままなぞってくる人といて楽しいですか?
楽しくないでしょう。
だから事前に内容をつくってきていいですが、いざ本番が始まったら、ライブで観客を喜ばせようというエンターテイナーにならなければだめなのです。
決して原稿を読むNHKのアナウンサーになってはいけません。
◆まとめ
きょうは、セミナーの場のつくり方について、基本的なことをお話してみました。
机上の空論は一行もなく、すべて実体験に基づいた智慧を述べたつもりです。
「会場設営」や「視界の持ち方」や「ライブでの交流」に気をつけていくうちに、どこかで「場をつかんだ」感覚が出てきます。
それは、こちらの言うことがしっかり心で受け取られた感覚であり、あちらの反応がしっかり心に伝わってくる感覚でもあります。
つまり、心と心の交流を通して、その場が熱くうねり始める状態になるのです。
そうしたときは、自分を超えたエネルギーが会場を駆け巡るようになります。
そして、そのようなセミナーこそが、人を変え、自分をも変え、世界を変えていくものとなるのです。
素晴らしい場と、熱い時間をみんなと共有する。
そんなかけがえのないドラマを数多くつくっていきたいと思います。
あなたともどこかでお会いしましょう。
それではまた。