異質結合による儲かるビジネスの創造

遠江(とおのえ)です。

◆2つのイノベーション手法について

儲かるビジネスというのは、何か従来の商売をイノベーションして、新しい価値を創造し、それが市場にアピールしたときに起こります。

すでに儲かっている領域に後発で入って同じようなことをしても、集客が難しいので、だから起業家にはイノベーションが不可欠なのです。

その「イノベーション」を起こす方法は大きく2つあると言われています。

一つがドラッカーの「体系的廃棄」、もう一つがシュンペーターの「異質結合」ですね。

「体系的廃棄」というのは、陳腐化したものをどこかでドサッと捨ててしまうことです。

たとえば、スティーブ・ジョブズがアップルを再興したとき、売れない製品ラインをドサッと捨てて、数種類に絞り込んでimacをビッグヒットさせたようなことですね。

でもきょうはこちらにはあまり踏み込みません。

もう一方の「異質結合によるイノベーション」、もっと言えば「異質結合による儲かるビジネスの創造」について述べたいと思うからです。

というのは、「体系的廃棄」が効くのはある程度事業が複雑化した段階であり、これから事業をつくる初動期においては「異質結合」のほうが断然効力を発揮するからです。

◆グリコのおまけ

「異質結合」とは、「異なる性質のものを組み合わせて、新しいものをつくること」です。

注意して世の中を見渡せば、まぁこの例はたくさんあります。

そういうものを探しだすところから、この異質結合力は培われるものです。

たとえばグリコのおまけ。これは古いですね。(笑)

キャラメルを買ったら、上におまけの箱がついていて、その中に「何が出てくるかお楽しみ」のちっちゃなフィギュアが入っているのです。

前回の東京オリンピックの頃、1960年代にはこういう異質結合が多大な儲けを稼ぎ出していたのです。

といってもグリコのおまけの発売開始は1927年ですから、30年以上もお菓子業界で覇権を取るほどのビッグ・イノベーションだったわけです。

でも発案者はおそらく、「グリコを買ったとき、おもちゃがついてきたら売れるんじゃね」ぐらいのことを思いついただけと思います。

で、たくさんの反対もあるなか、「やってみねえとわからんじゃないか」ぐらいの豪腕選手が出てきて、やったら大当たりした、ということだと思います。

なぜ見てきたように言うかというと、ほとんどのヒット商品はこのような過程で生まれているからです。

モノ自体は変わっても、人間のやることの基本パターンはそう変わりません。

で、このグリコのおまけはその後、数多くのフォロワーを生んで、ドラゴンボールだとかガンダムだとか妖怪ウォッチだとか、それぞれかなりヒットして富を稼いでいるはずです。

「お菓子」と「おまけ」のベタな異質結合でも、これだけのことが起こせるわけです。

◆音楽業界の例

この「異質結合」はものづくりだけに適用されるわけでは当然ありません。

音楽にだってこんなものはいっぱいあります。

「フォークロック」という異質結合で、ボブ・ディランのしがないバックバンドをやっていた「ザ・バンド」がスーパー・グループに成り上がったり、「はっぴいえんど」という日本のフォーク・ロックの草分けバンドから、YMOから大瀧詠一から山下達郎からユーミンから、とてつもない巨大な才能集団が生まれて、とんでもない富を稼ぎ出しています。

「クロスオーバー」という「ジャズ」と「ロック」を異質結合させた発明で、1980年代には「ネコも杓子もクロスオーバー」という時代がありました。

松本伊代とか早見優のようなアイドルタレントまで、クロスオーバー風の曲を歌ってヒットしていましたから。

つまり、「すでにあるものを組み合わせたら、なんか変わったものができるんじゃないの?」という単純といえば単純な発想で、儲かるビジネスネタは十分つくれるのです。

だから、それをやりたければまずは「異質結合を探せ!」というゲームを自分でやって、眼力をつけてください。

何と何を組み合わせたら「何」という商品になって売れたのかをリサーチしまくるのです。

そんな難しいことではなくて、ある程度長く市場に出ているものはみんな売れて生き残ったものですから、そのなかから「異質な組み合わせ」を探せばいいのです。

そして、「たとえば〜」といくつもスラスラ答えられる実力がついた頃、あなたのビジネスでもスルドイ異質結合ができるようになると思います。

◆実験また実験

ブレイクする起業家はみな行動力が旺盛です。

「おもしろいじゃん」、「いけるんじゃないか?」と思ったら、普通に実験に入ります。

失敗して倒れてしまうほどではないくらいの規模で実験を繰り返し、当たりそうだったら、そこに資源を投入して勝負に出ます。

そしてこのやり方だけが起業家の成功パターンなのです。

つまり、当たるかどうかはやってみないとわからない。

だから考えすぎて、実験をやらない、実験が少ない、当たりそうなのに勝負に出ない、こういうのはみんな負け組です。

異質結合して、自分でイケそうかなと思ったら、あとは実験、実験、テスト、テスト、で最後は度胸で勝負するしか道はないのです。

それだけは「そういうものなんだ」と悟っておいてください。

ただ「筋のいい発想」というのはあります。

最初のアイデアの段階で、一定以上優れたものを出す術はあるのです。

それについてはまた回を改めてお話することにいたしましょう。

ではまた。

次の記事

筋のいい発想とは何か

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