【異質結合】の秘密

遠江(とおのえ)です。

きょうは私の根本思想の一つである「異質結合」について、改めてその中核とするところをお話したいと思います。

この「異質結合」という概念自体は、経済学者のシュンペーターが提唱した、「異質なものの組み合わせによるイノベーション」が淵源です。

ただ、私はシュンペーターをそれほど深く勉強したわけでもなく、この「異質結合で新しいものをつくる」という考え方で二十年来さまざまな経験をし、実績を上げ、考え方をつくってきましたので、かなり自分の思想としてオリジナルなものがあると思っています。

なので学術性に捕らわれることなく、自由に自らの考えるところを述べてみたいと思うのです。

◆異質結合最強論

私は「異質結合」こそ、新発明をして成果を出すための最強の思考法だと思っています。

なぜ「最強」か?

それは、「異質結合」には、小さな日常の思いつきを、実績の出る発明に変える力があると思っているからです。

それはどういうことでしょうか。

異質結合するときに、なにか大発明をしようという気負いは必要ないのです。

あるとき、あるものを見て、ふと思ったことが、異なるものと結びつけてみると、意外に大きな発明に成長することが多いのです。

たとえばベタなところでは、ラジオとカセットデッキを組み合わせて「ラジカセ」というものがあって、一時期どの家庭にも一台あるぐらい売れました。

シャープペンシルとボールペンを組み合わせて「シャーボ」というのもあって、これはラジカセほどではないけれど、今でも文具店に並んでいます。

ライオンとヒョウを組み合わせて、「レオポン」という新種の動物をつくって集客に成功した動物園もありました。これはその後流行ったかどうかわかりませんが。(笑)

このように、やろうと思えば誰にでもできる汎用性があるわりに、けっこうヒットして大きな富を引き寄せる実績力があるのです。

だから、起業家にとってこの「異質結合」を使いこなせるかどうかは、かなり大きいのです。

◆さらに複雑な異質結合

さらに、決してベタなものばかりでなく、もっと複雑なものも生み出せるのが、異質結合の懐の深さです。

つまり、異質結合されたもの自体をユニットとして、また他のものと結合させることができるのです。

たとえば、日本人とフランス人のハーフを、アメリカ人とインド人のハーフと結婚させると、四カ国の遺伝子が異質結合されたクォーターができるといった具合にです。

つまり異質結合という考え方は拡張性が高くて、あちらで発明したものとこちらで発明したものを、こだわりなくどんどん組み合わせて新しいものを生み出しやすいのです。

だからこのやり方をいったんマスターしてしまうと、これを使わない人に比べて隔絶した創造性を発揮することが可能となります。

たとえばビジネスコラボを成功させるスキルをマスターしてしまうと、一人ビジネスや老舗ビジネスをしている人を遥かに凌駕する企画力が出て、成功しやすいのです。

それは、買い手市場のいわゆる低成長時代に入ると、新しい価値の創造をするところ以外、お客はお金を出さなくなる傾向があるからです。

老舗の羊羹(ようかん)より、新しいスイーツのほうに、多くの人はお金を出しますよね。それと同じです。

そして、異質結合して生まれたものというのは、「新しいのにどこか懐かしい」感じがするので、新奇すぎてマーケットに弾かれることなく、意外とすんなり消費者に受け入れられることが多いと思えるのです。

つまり、拡張性が高く、バリエーションを出しやすい上に、売れやすいのです。

このような強みを「異質結合」は持っています。

◆異質結合の方法論

では、どうやれば「異質結合」ができるのかに入っていきます。

私のセミナーに来る多くの方を拝見していると、ベタな組み合わせはできるけれど、深い組み合わせがなかなかできなくて、実際に実用レベルで使えていない人も多いと感じるのです。

ではベタではない「異質結合」の秘訣とは何なのか?

それは一言で言えば、抽象化と具体化の繰り返しによって異質結合すればいいのです。

どういうことでしょうか。

まずあなたが「素晴らしい」と思えるもの、「あのエッセンスを自分も取り入れたい」と思えるものを一つ選びます。

そして、その素晴らしきもののどこが素晴らしいのかというエッセンスを抽象化していきます。

たとえば、以前どこかで言いましたが、セブンイレブンが素晴らしいと思えば、その素晴らしさを抽象化していき、私は「棚の輝きが違う」と表現しました。

まだ抽象性は低いですが、実感としてそこが素晴らしいと思っているので、その言葉を素直に出したのです。

すると、「棚を輝かせればよく売れる」ということですから、「では、自分のビジネスの『商品棚』に当たるものは何か」を考え始め、「ああ自分の場合ならweb上のサイトのフロントベージがそれに当たるな」とくっつき始めるのです。

つまり、抽象化していくなかで出てきたキーワードが、どこかで自分のものとくっつきやすくて、実際にくっつきます。

すると、たとえばセブンイレブンと自分のサイトに橋が架かった状態になります。

ならば今度はセブンイレブンの他のエッセンスや具体策も、その橋を通って、簡単に自分のところと行き来できるようになるのです。

たとえば鈴木敏文は「伝道師として優れている」と感じたら、橋を通って、「では自分も伝道師として自分のビジネスをやろう」という具合に、どんどん異質結合が進むわけです。

この場合「棚の輝き」とか「伝道師」という抽象化されたエッセンスとしてのキーワードが、自分と結びついて橋が架かり、その抽象化したエッセンスを自分のビジネスで今度は具体化するのです。

ですから抽象化と具体化を繰り返しながら、どんどん異質結合が進むことになります。

おわかりでしょうか?

◆別のたとえ

別のたとえを使って異質結合をさらに説明しましょう。

それはたとえば、ものまねタレントが、ありえない設定で森進一のものまねをするようなものです。

「もしも森進一がラップ歌手だったら」(笑)とかですね。

もうこのものまねタレントは長年の修練によって森進一とのあいだにしっかり橋が架かっていますから、こんどは本人が絶対にやらないようなものまで、モノマネでパフォーマンスできるのです。

もっと進んだら、「森進一と岩崎宏美の間に生まれた子供が松本聖子の歌を歌ったらどうなるか」みたいなことまで創造できるかもしれません。(笑)

まぁどんなものになるのか想像もできませんが、理論上は可能ですし、名人クラスならやる人がきっと出てくる気がします。

そして、「まったく新しいモノマネ」として大ブレイクするかもしれません。

このようにいったん異質なもの同士の間に橋が架かると、交通網が整備されたのと同じで、どんどん相互に行き来ができるようになります。

それに伴ってもっと橋が整備されると、もっと大きなものが行き来できるようになります。

そして、最後にはありえないぐらい不思議な新結合が生まれたりするのです。

◆結論

ですから、この異質結合の奥は深いですし、まだまだ開拓の余地はいっぱい残っているというのが私の見解です。

そして、これは水素と酸素が結合して水ができるように、かなり物理学の本源に近い原理なのです。

だから最後は宇宙創世の原理にまでつながると私は見ています。

それだけにこの異質結合からさまざまな未来の扉が開かれていくでしょう。

そこから無限の富が生まれることを確信しています。

あなたも「異質結合」を極めてみませんか?

私にはそのサポートをする用意があります。

それではまた。

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