ジュディ・ガーランドの『スタア誕生』
遠江(とおのえ)です。
今日は映画の話題です。
ミュージカルなのですけれど、そのジャンルでは最近の『グレーテスト・ショーマン』を演った主役もよかったのですが、男女を含めて歴代No.1のミュージカル・スターはジュディ・ガーランドでしょう。
昨日、彼女の古典的名作『スタア誕生』(1954年)を久しぶりに観て、ぜんぜん古くなっておらず、今だに光を放っていることを確認しました。
というか、涙が止まらなかったです。
この映画の特に前半に、自己実現に関する大事な学びがあるので、まずはストーリーと名場面をかいつまんでご紹介しましょう。
これは無名の女性歌手が大スター男優に見染められ、片方はスタアにもう片方は破滅していく自己実現ロマンです。
「スタア」と表記するのは、花形役者をあらわす古い言い方で、今回はジュディ一人を表すと思ってください。
役柄でストーリーを紹介すると名前がこんがらがるので、実名で話を進めますね。
◆大スターを救った無名の歌手
冒頭、大物たちが集まるハリウッド・レセプションの大舞台に、少し落ちめになりかかった大スター(ジェームズ・メイスン)が泥酔で現れます。
天才肌だが問題も多発させるタイプで、アル中になりかかってるんですね。
大勢の映画関係者が見守る中で致命的な大失態になるところを、無名のコーラスガール(ジュディ)が勇気ある機転で救います。
人の真心は道を開くきっかけになる。
名場面の一つですから観てきてください。
◆埋もれていた宝
終演後、ジュディの前に現れたメイスンは無礼を装いながらも「今夜、君は私を救った」と壁に落書きして感謝を示し、ジュディは心を少し動かされます。
その日の深夜、泥酔から目覚めたメイスンは、ジュディを探し回りやっと見つけます。
ミュージシャンたちはあちこちでお金のための仕事を終えた後、閉店後の店に流れて、自分たちのために演奏して心を癒すのですね。
これがジィディ生涯の名唱となった「行ってしまった彼」。
最高の自己を差し出していれば、どこかで誰かが見ているもの。
少し音量が小さいのでボリュームを上げてお聴きください。
◆運命の転回
メイスンは彼女の歌に衝撃を受けて、店の外に連れ出し、興奮気味に言います。
「いま僕は優れたものに接した。喜びが体を突き抜けたんだ!」
戸惑うジュディを強引に車で送ったメイスンは、彼女のドン底時代のドサ回り話を聴いた後、「君の夢は?」と尋ねます。
「スカウトに見出されてレコードを出し、ヒットチャート1位になって、国中のジュークボックスでかかること」
そう答える彼女に、彼は首を横に振ります。
訝(いぶか)る彼女に答えた言葉。
「夢が小さすぎる」
「君はもっと成功できる。今夜がそのターニングポイントだ」
大スターは無名歌手に別世界への可能性を教えるのです。
彼女の人生を変える場面ですね。
別れ際、「もう一度君の顔を見せてくれ」と頼む彼に微笑み返す彼女。
これは後にやってくるクライマックスの伏線になります。
英語ですが、話の概要は今言った通りなので味わってみてください。
◆自己実現にまつわる永遠の真理
「違う。君の夢は小さすぎる」
ここに自己実現にとって永遠の真理が入っています。
人は自分の可能性をなかなか客観視できません。
現実の中にどっぷり浸かるうちに、自信が持てなくなるからですね。
ところが上から眺めたら、本人にわからない道が見えます。
この天使役をうまく配することで『スタア誕生』は永遠性を持ちました。
このあと彼女は本人の努力と彼の献身に支えられて、本物の大スタアに登りつめていきます。
ジュディに救われたメイスンが、今度は彼女の自己実現を助けるわけですね。
◆私の話
私は20代の頃、この映画に感動しました。
当時はジュディのキャラクターに魅せられて、青臭い話ですが彼女に恋したと言っていいでしょう。
32年前の夏、夢を実現する資金を稼ぐため、佐川急便のセールスドライバーをしながら、エアコンなしのダッシュボードに彼女のプロマイドを飾って、その笑顔を唯一の慰めにしていましたから。
その17年前に若くして亡くなったジュディを想い、「自分はなぜ、彼女を助けられなかったのだろう」と思ってましたね。
そんなことできるはずもないのに。
あれはキツい夏でした。
でもこれは主題から逸れますから置きましょう。
いずれにせよ、私は夢を追う男でしたし、夢追い人を助けるのも好きだったのです。
それが今の仕事になっているとお考えください。
◆ライフ・テーマ
このように今回の「魔法の自己実現セミナー」は、昨日や今日思いついた企画ではありません。
私の人生を貫くテーマから出てきたものです。
ここで自分は破滅型ではないメイスン役を務めて、たくさんのジュディを生み出したいのですね。
もちろん男性も含めてです。
自分は年齢が違うなどと尻込みしないように。
夢にチャレンジするとき、人はみな青春を生きますから。年齢は関係ありません。
「人は60歳で再出発し、70歳でもう一度神に祈って未来に対する積極的な考えを身につけなさい」とノーマン・ビンセント・ピールも言っています。
ましてやそれ以下だったら、全然若いわけですよ。
自己実現のスタートは光明思想で行こうじゃないですか。
メイスンはジュディが気づいていない可能性を認めて、彼女を助けました。
あなたには自分で十分見えていない美点がきっとあるはず。
それをしっかり信じてください。
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