カウンターを撃ち返すことの真なる意味

遠江(とおのえ)です。

以前、私は「クレーム、批判、誹謗中傷への対処法・概論」という記事のなかで、
名指しの批判と誹謗中傷に対しては、すぐにカウンターを撃ち返す必要がある、と述べました。

こういう攻撃を受けたとき、それを無視していると必ず長期間にわたってダメージを受けるので、反撃しないといけない、という意味です。

ここにはまだまだ述べておくべきことがありますので、きょうはそれをお話します。

◆カウンター

私は格闘技のyoutubeを観るのが好きで、仕事の合間にけっこうな量を視聴していますが、
おもしろいのはほぼカウンターの場面に集約されます。

「カウンター」というのは、片方がパンチを打とうとする瞬間に、相手より早くこちらの反撃パンチを当てる攻撃法ですが、
派手なノックアウトはほとんどこの場面で起こります。

まぁ世界最高峰同士の戦いになると、技術が高すぎて、絵に描いたようなカウンターによるノックアウトは見れなくなりますが、
その下のクラス以下では、数多い興味深い現象を観察することができるのです。

つまり、こちらが何も攻撃していないときに受けた相手の攻撃は、普通、そう大したダメージはないのに、
こちらが渾身の攻撃をしようとしているときに受けた相手の打撃は、致命傷になるほどダメージが大きいのです。

昔、「あしたのジョー」という漫画で、矢吹ジョーがクロスカウンターという必殺技を使って敵を倒すシーンがあり、
「カウンターは相手の攻撃の勢いが、そのままこちらの攻撃に上乗せされるため、ダメージが2倍になる」という説明があったと記憶していますが、
どう見ても、カウンターには2倍以上のダメージがあります。

なぜかというと、通常、人は殴られるとき、身を引く、目をつぶる、顎や首の筋肉を緊張させるなどして防御行動を取ります。

防御を意識すればこれらを自然に行なえますが、攻撃に全エネルギーを集中しているときは、この防御行動へエネルギーを回せないのです。

だからまったくの無防備状態で相手のパンチを被弾するため、通常よりはるかに大きなダメージを受けるわけです。

物理的な衝突速度もありますが、防御反応の有無のほうが甚大な影響を与えているのです。

◆ボディブロー

そして、これとは別に「ボディーブロー」という攻撃があります。

これは端的に言えば腹を殴ることですが、顔を殴ることに比べて見た目は地味でも、相手の足を止めて機動力を奪うことに大きな効果がある攻撃なのです。

顔を打たれたダメージはわかりやすいが、腹を撃たれたダメージは一見わかりにくいという特徴があります。

もちろんこのボディーブローがカウンターで入ると、一発で悶絶KOになることもあるので、カウンターの原理はどのパンチにも働いています。

しかし、ボディーブローに関しては、たとえカウンターでなくても、普通ガードは顔を守っているので、その下の腹はパンチをもらいやすいのと、何発も撃たれているうちにこちらの足が止まって機動力が奪われることで、敗北につながりやすいのです。

何を言わんとしているのかというと、名指しの批判や誹謗中傷を浴びることは、
このボディーブローを撃たれることにたとえられるのです。

一発打たれたぐらいで致命傷にはなりませんが、こちらが反撃しないので、相手がかさにかかって何発も打ち込んできたときに、
かなり重いダメージになって、途中で試合続行不能になって負けることが多いのです。

だから、決してボディーブローを打たれ続けてはなりません。

そうされたくなければ反撃をすることです。

◆応用動作

さて、カウンターやボディブローの原理は、智慧を使えばビジネスにも広く応用可能です。

その「智慧」の一つとして、格闘技とビジネスの違いも知っておく必要があります。

わかり易く言えば、格闘技は一瞬の勝負ですが、ビジネスはもうちょっと長い「一時(いっとき)」ぐらいの勝負になります。

どういうことか。

たとえば、相手から予期せぬ攻撃を受けたとき、ビジネスであればなるべく早く、できれば翌日には反撃を打ち返せばいいのです。

それで十分カウンターの効果は出ます。

つまり、相手からの継続した攻撃を止めたければ、翌日すぐにカウンターを打ち返しておけば、だいたい止まることが多いということです。

しかし、この原理を知らないために、必要以上のダメージを受けている例が世の中には多すぎます。

だから、こうやって詳しく説明しているわけでもあるのですが。

◆AKBの柏木由紀の例

わかりやすくするために、実例を挙げます。

AKBの柏木由紀は、今年6月、つまり4カ月ほど前、ジャニーズの手越祐也とのお泊り写真が流出して、大騒ぎになりました。

恋愛禁止のAKBでナンバー2か3の人気を数年間得続けてきた彼女のスキャンダルは、熱心なファンにも大きな失望を与えたことでしょう。

ここで問題になるのは、彼女がそれ以降、ダンマリを決め込んで、一切何のコメントも発していないことです。

完全スルーして、まるでなかったことにして、それ以降も普通に活動を続けているわけです。

私は彼女のファンでもなければ嫌いでもないので、ごくニュートラルな立場で見て、これはちょっと心配になる状況だと考えています。

つまり、柏木由紀の側に立って考えた場合、マスコミやファンや世間から「まだちゃんと釈明してもらってないよ」というマイナスの想念を彼女が受け続けていることは間違いないのですが、それを放置しているため、格闘技でいうところのボディーブローを打たれ続けている状態と見ることができるからです。

彼女はそれをやめてほしい立場でしょうから、それならするべきは迅速にカウンターを打つこと以外にないのです。

この場合のカウンターは会見を開いて釈明か、あるいは謝罪をするということでしょう。

とにかくどちらでもいいので、早くなんらかのリアクションを取るべきだったのです。そうすれば「カウンターの原理」が働いて、根強いブーイングは鳴り止んだはずです。

このように名指しの批判を受けているときは、決して無視してはならず、何らかの打ち返しをおこなうべきなのです。

ただ、この原理がわかっていないために、無用の被害があちこちで生まれていることを残念に思っています。

◆ネットビジネス界での事例

同様に、ネットビジネス界でかなり高名な人物が、顧客からかなり辛辣なクレームを受けた事案が昨年起こりました。

クレームの内容は、高額のコンサルを受けたのに、対応が悪く、最後は連絡不能になってしまった、というものでした。

ここではそのことの真偽は埒外とし、ただ対応策の是非のみを対象として論じます。

クレームを受けた人物をここではA氏としておきます。イニシャルがAというわけではありません。

ここで問題になるのは、A氏がその後、何のリアクションも取らず、完全スルーを装っているということです。

「金持ちけんかせず」のスマートな対応のように見えますが、ボディーブローとカウンターの原理を照らして見るかぎり、名指しの批判を長期間放置しているのでボディーブローは確実に効いていると見なければなりません。

そして、それに対して何のカウンターも打っていないので、これは周囲から「弱い」と見られて、当事者以外の世間からもマイナスの想念を送られる結果に陥っている可能性があります。

A氏はかなり知恵のある人物だと私も評価していますが、この件に関しては対応を誤っていると言わざるを得ません。

クレームに対して本人に迅速かつ真摯な対応をすべきでしたし、もしそれが誹謗中傷に当たる理不尽なものであったなら、自分の媒体で反論・逆批判を少なくとも一回はやっておくべきです。

批判に沈黙すると、世間はそれを受け入れたと見ますので、このケースで「無視」「完全スルー」というのは正しい対応ではないのです。

ボディーブローは効いてくると足が止まって行動力が落ち、試合続行不能になることが多いのです。

そういう不幸なことにならないことを祈るばかりです。

◆まとめ

今回は「カウンターを撃ち返すことの真なる意味」について語りました。

原理を正しく知って、それを自分の活動のなかで応用実践することを奨励したものです。

それが成功の原動力にもなり、致命的な失敗から身を守る事にもなるのです。

だからこそ「知は力なり」で、できる限り有用な原理を知る努力を続けていただきたいと思います。

私もまたその一人として努力していこうと思っています。

それではまた。

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