感謝の仕方、人の褒め方
遠江秀年(とおのえひでとし)です。
よく「感謝は成功のもと」ということが言われます。
また、「人を褒めたり、成功者を祝福すると自分も成功できる」ということも言われます。
どちらもポジティブな言葉を発するという共通点があるので、きょうはこれについて考察を加えたいと思います。
上手な感謝の仕方、人の褒め方とはどういうものか、ということです。
◆感謝
結論を最初に言ってしまうと、「感謝も褒めるのも具体的に」というのが私の考えです。
できるだけ具体的に感謝すべきです。
どういうことをしていただいたことについて、自分はありがたいと思っているのか。
どういう配慮がうれしかったのか、これを具体的に述べたほうが、相手に伝わります。
逆に、「いつもありがとうございます」的な感謝は、慣用句になってしまって、
ありがたみはあまり相手に伝わりません。
もし挨拶代わりにそう言うのだったら、それもありでしょうが、
あまり無駄な言葉を使っていると、次第にあなたの言葉が「読まれなく」「聴かれなく」なるので要注意です。
「感謝」というのはどういう心の働きか、と考えると、
これは人から何かを与えられたときに起きる、お返しをしたい、という気持ちですよね。
与えられたと感じたとき、自然に湧き上がる美しい気持ちが、感謝の本質だと思うのです。
だから、感謝を深めたければ、「何を与えられたのか」に明確に気づくことが大事です。
「自分は一体あの方から何を与えられたのだろうか」この問いは、かなり哲学的に深めることが可能なはずです。
たとえば、きょうあることで褒められたので感謝するというとき、
単純に考えれば「ほめられた」という与えられた事実に対して「ありがとうございます」ということになります。
しかし、こういうふうに褒めてくれるということは、
いつも自分に好意を持って見守ってくれているからそうなのだ、と気づくと、
「相手の長年に渡る真心」に対して「ありがとうございます」としみじみ想うことになり、
感謝が深まると思うのです。
ですから、「与えられているものを発見する」という探究心が感謝を深め、
相手を喜ばせ、自分も幸福になる智慧になると思います。
◆褒める
同様に、人を褒めるときもできるだけ具体的に言うべき、というのが私の考えです。
つまり、単に「素晴らしいですね」とか「感動しました」と言うだけでなく、
「どこが」素晴らしくて、「どこに」感動したのかを伝えるべきなのです。
なぜかというと、「褒める」とか「祝福」という心の働きは、
相手の素晴らしさを発見したとき、自然に湧き上がるものだからです。
だから、「素晴らしさの発見」がより豊かで、精密であればあるだけ、
そのあとの祝福の気持ちも豊かになるはずです。
褒められた方も、「どういうところが特に素晴らしかったのか」を具体的に表現してもらうと、
そこから新たな発見をしたり、新たな自信を得たりするものです。
「え、あ、そこがよかったのですか」と、自分でも気づかなかった美質を再発見するわけです。
特に、今までスポットが当たっていなかった角度から、相手を褒めることは、
新しい可能性を開いてあげることにもなると思うのです。
◆事例
以前、TVのバラエティ番組に天海祐希(あまみゆうき)さんという宝塚出身の女優が出ていて、
私はyoutubeで何気なしにそれを観たのです。
彼女のことは当然知っていましたが、特にファンというわけでもなく、普通の感情で観ていました。
ところが途中で、彼女が「売れない中堅芸人が好きだ」というような話になって、3組ほど
彼女のお気に入りの芸人が出てきたんですね。
確かにどれも知りませんでした。
しかし、天海さんはそれをさも可笑しそうに受けまくっていて、芸人たちも嬉しそうでしたし、
それを観ている私たちまで幸せな気分になったのでした。
どこで幸福感を得たのかというと、間違いなく天海祐希さんの表情豊かな笑い方を観てでした。
つまり、彼女は心底おかしくて笑っていたのでしょうが、その豊かなリアクションのなかに、
各芸人に対する「祝福」がたっぷり入っていたのです。
「あなたたちは、ここがこんなふうに可笑しい」とリアクションだけで具体的に褒めていたのです。
それはさすが一流女優の表現力でした。
彼女は「上司にしたい女性ランキング」でここ数年1位を続けているそうですが、
「なるほどな。あんなふうに褒められたら嬉しいだろうな」と深く納得した次第です。
◆天使
日の当たらないところで頑張っている人に、スポットを当ててあげたい。
みんながまだ気づいていない「素晴らしさ」を発見してあげて、
それを伝えたい。
あるいは、本人ですら気づいていない「素晴らしさ」を教えてあげたい。
こういう気持ちは美しい天使の心だと私は思います。
そういうものに接したとき、私は山間にそっと咲くすみれを発見したときのような
幸福な気持ちになります。
砂漠にオアシスを発見したときのような、嬉しい気分になるのです。
そして、その天使はその人自身、さらに光を増していくことになるでしょう。
もっと深い感謝と祝福ができる人になっていきましょう。
それが、この地球を豊かで美しいユートピアにしていく道だと思います。
そして、あなた自身を豊かで美しい成功者にしていくことでしょう。
心をこめてそれをあなたにお伝えしたいと思います。
お読みいただき、ありがとうございました。