無数の問題解決こそ実現者の使命
遠江(とおのえ)です。
ものごとを実現しようと思えば、問題解決はマストです。
何かにチャレンジするということは、次々に現れる問題を乗り越えていくということと同義なのです。
たとえば0から1にするときには、何もないところから足場を作り、一歩登って最初の成果を出すというファーストキャッシュの問題を乗り越えねばなりません。
あるいは、斬新なアイデアに挑戦しようとするときには、周囲の反対という問題を説得で乗り切ったり、場合によっては押し切らなければいけません。
どこかで足を引っ張る者が出てきたり、ときには積極的に潰しにかかってくる者と戦わなければならないこともあるでしょう。
いずれにしても問題は必ず出てきます。
プロジェクトを実現しようとする者は、無数の問題を解決していくことについて、最初から肚をくくっておくべきなのです。
◆問題の接近を直感で察知する
「直感」というのは、プロであればあるほど、研ぎ澄まされてきて、なまじな理論よりよく当たることが多くあります。
とくに、何かトラブルが接近してくるときに、いち早くそれを察知し、心がまえをつくっておくことはとても大事です。
手練の漁師は天気予報で晴れと言っていても、「今日は荒れるよ」と直感で予言して、そちらのほうがよく当たるといいます。
大空のサムライとして名を馳せたゼロ戦の坂井三郎操縦士は、雲一つない快晴のなかからゴマの点ぐらいの敵機を誰よりも早く見つけられたから百戦百勝したというのです。
事業を推進しているときも、朝からなにか重い感じがして、何か問題が近づいてきていることを予感することがあります。
いわゆる虫が知らせるというやつですね。
そうすると、たいがい午後には実際にクレームが発生したり、誰かが批判してきたりすることがあるのです。
これが胸騒ぎがするレベルになると、ちょっと大きな波が来るなとか、ああこれなら十分しのげるれべるだとうとかいうことも経験を積むとわかってきます。
いずれにせよ、いち早く問題の接近を直感で察知することが被害を少なくするのです。
◆恐れすぎずに心がまえで抜けていく
そのときに、トラブルの発生を恐すぎる必要はありません。
あなたが何かを打ち出しているから、それに対する反作用が返ってきているだけで、それはどちらにせよ解決していかなければならないことが多いのです。
このような恐れすぎず、ある種達観した心がまえをつくっておくことで、実際にはあっさり乗り越えてしまうことのほうが多いものです。
「心がまえでトラブルを抜ける」といっていますが、心というのは「中心」というように、人間存在の中枢にある偉大なエネルギーなのです。
ですから、「こんなものは当然一つひとつ抜けていくべきものなのだ」という前向きの心がまえをつくっておけば、そのとおりに抜けていけるものです。
もちろん、具体的な解決策をいろいろと考えだすことは必要ですが、そんな方法論は「解決するのだ」という心がまえのもとに集まってきます。
だから先回りして心配ばかりする必要などなく、「やがて問題は現れ、そして自分はそれを解決するだろう」とドーンと構えておればいいです。
その不動心が何より大切だということを忘れてはなりません。
◆頭で考えるだけだと逃げを打ちやすい
このとき、心でかまえをつくれずに、頭であれこれ考えて対処しようとする人がいますが、私はそのやり方を勧めません。
なぜなら頭のよさげな人が、意外に逆境にもろくて、すぐ逃げの態勢になって簡単に土俵を割ることをたくさん見てきたからです。
本人は賢くアウトボクシングをしているつもりでも、ベタに押しまくられて最後は倒されたり、大差で判定負けすることがよくあるのです。
自分は上手に逃げたつもりで、実際は命脈を絶たれていたということが歴史上にも数々あります。
たとえば1960年代に、当時日の出の勢いだった立正佼成会は、読売新聞から批判キャンペーンを張られたとき、「読売菩薩論」を唱えてうまく批判をかわそうとしました。
「読売さん、われわれを観世音菩薩のように批判してくださり、ありがとうございます」と戦わずに感謝したのです。
しかし、ここで逃げたことで事実上、この会の日本国中を伝道するという命脈は断たれました。
やはり強い心で戦っておくべきだった、というのが指揮者の見識ですし、私も同感です。
それは尖閣列島の問題が出たときに、鳩山由紀夫元首相が、「日本列島は日本人だけのものではない」といって国際社会から物笑いの種になったことを見てもわかります。
頭がよいだけの学者タイプは、ここぞというときに肚がすわらず、結局負けてしまうことが多いのです。
◆守りの中の攻め
むしろ問題を解決するというだけでなく、下手な攻撃をしてきたら逆手に取って逆襲するぐらいの気概があるとよいでしょう。
実際に、プロジェクトの邪魔をする妨害が出たのを、問題の中枢が特定できたとして、一気に打開するチャンスに変えてしまえることもあるのです。
相手が打ってくるときにカウンターをヒットさせれば、劣勢を逆転する起死回生の一発になることもあるし、こちらが優勢ならケリを早くつけて時間短縮にもなるのです。
中途半端な攻めに対しては、反撃して敵の本丸まで攻め込んで、完全勝利することもできれば、一筋縄でいかぬ敵は深追いせず手堅い判定勝ちをおさめておくこともできます。
いずれにせよ問題に対しては、ただ守りに入るだけでは不十分だということです。
強い軍勢というのは、守っている時でも圧力があるし、退却するときでも攻めながら引くものです。
守りのなかにも攻めがあることを大切にしましょう。
ということで今回は問題解決というテーマを兵法の観点から論じてみました。
自分の国は自分で守らなければならないのです。
それではまた。
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