リスト取りはなぜ大切か
遠江(とおのえ)です。
江戸の商人が火事のとき、真っ先に持って逃げたのは「顧客台帳」だった、というのは有名な話です。
お金や商品は失っても商売ができるが、「顧客リスト」だけは失ったら商売ができなくなるから命がけで守ったのです。
そして、この顧客リストのなかでも現代のマーケティングにおいて極めて大事なのは「見込み客リスト」です。
「見込み客リスト」というのは、「商品やサービスを買ってくれる可能性のある人のリスト」のことであり、このリストをどれだけ持っているかで売り上げが左右されるのです。
シンプルに言い切れば、見込み客リストをたくさん持てば、商売に成功したも同然です。
もちろん「正しいやり方をしていれば」という注釈は付きますが。
◆リスト取りをしない愚
というのも、たくさんの人を集めたにも拘らず「リスト取り」をしない愚かな事業者や、見込み客リストをいっぱい持っているのに、何もアプローチしていない残念な事業者が、業界によってはまだまだたくさん存在しているからです。
この人達は、宝が目の前にあるのに素通りしたり、宝の持ち腐れをしているのと同じで、商売に成功する資格はありません。
だから、「リスト」について正しく学んでおくことは事業において死活的に大事なのです。
以前、ある非営利団体が、自らの会員リストをたくさん持っているにも拘らず、十分なフォローをせずにリストを放置して、サロンに集まってくるリーダーだけを深掘りして終いに彼らの財布を枯渇させたり、新規会員を探して毎回街をさまよい歩いたりしていたことがありました。
「リスト」の価値を知らず、「リスト」を生かす智慧を学ばないから、そういう愚かなことをしてしまいます。
リストを集め、リストを教育し、リストに売れば、いくらでも収益を増やすことができるのに、宝の持ち腐れをするばっかりに、余計な苦労ばかり背負い込むことになっているのです。
多大なコストを支払って、やっとのことで集めたリストを放置して、見ず知らずの人に声をかけて回ることがどれほど徒労なのかを知らなければなりません。
苦労して集めた見込み客リスト(あるいは顧客リスト)は、現代であれば、必ずメルアドを取って、メルマガで耕さなければならないというのに。
ほんとうに知らないということは恐るべきことです。
だから、そんな無益な苦労をしてほしくないためにも、私は声を大にして言うのです。
営利事業、非営利事業にかかわらず、「リストこそ命だ」と。
◆集客の苦労いかばかりか
さて、見込み客リストを集めることを「集客」といいますが、マーケティングにおいて一番コストがかかるのが、この「集客」です。
知っている人には当たり前すぎることなので改めて説明するのも恐縮ですが、
見ず知らずの人に、こちらの商品・サービスをPRして、「もっと説明が聞きたければこちらにお名前とメルアドをご登録ください」と言って書いてもらうのが「集客」です。
「集客」できないかぎり、事業は成功しません。
どんなにいい腕を持ち、どんなにいい商品を揃えたとしても、そもそも見に来てくれる人のいないところで商売はできないのです。
私は人も使いながら数多くのセミナーを開き、多数の人を顧客にしてきましたが、セミナー当日のパフォーマンスより、人を集めてくるほうに何倍もエネルギーがかかりました。
人に声をかけ、おもしろいと思ってもらい、時間を空けてもらい、交通費を使って会場に来てもらうまでがたいへんなのです。
もちろん最高の価値を提供すれば、自然に人が集まってくるというのがマーケティングの理想ですが、それでもやはり集客には多大なエネルギーがかかる、というのが真実だと思います。
行きたいと思った人にもいろんな都合があり、邪魔も入り、ライバルも出現しますので。
だから、それを乗り越えてはるばる来てくれた人を「いちげんのお客」として帰すのではなく、リストを取ってリピーターに変えるべきなのです。
◆メールアドレスをもらう必要性
リスト取りする際にはもちろん住所を書いてもらってもかまいません。
が、たくさん書くのを嫌がる人もいるので、最も大事なメルアドだけは書いてもらうようにするのが肝です。
なぜなら、そのリストに間違いなくアプローチできて、しかも繰り返しアプローチできるのは、メルマガを置いて他にはないからです。
リストを書いてくれた人の家を毎日訪問できますか?できないでしょう。
定期的に電話をかけ続けられますか?難しいでしょう、実際には。
だからメルマガなのです。
こう言うと、メールだけでは温か味がないと言う方もいらっしゃいますが、誰がメールだけと言ったのですか。
メールでフォローしながら、必ず対面に持ち込むためにやるのです。
だけども、対面で会うのはそんなしょっちゅうできませんので、忘れられないために、メールで会えない間、上手にフォローするのが大事だと申し上げているのです。
◆リスト教育の大事
リストは耕さなければ意味がありません。
苦労してリストを取っても、そこに魅力あるコンテンツを流さなければ、しばらく放置すると心が離れていまいます。
では、無料のコンテンツを流し続けるのはもったいなくはないか、という疑問が出てくることと思います。
その問いに対しては、メールでは「What」と「Why」を流して教育し、「How to」を売るのだとお答えしておきます。
「あなたは何をするべきなのか」「なぜそれが必要なのか」、これを智慧を込めながら教えていくのがメールの使命です。
それは決して勿体ぶっているだけではありません。
その人をほんとうに成功させるためには、「どうやるのか」というハウツーが絶対に必要ですが、「なぜそれが大事か」が腑に落ちていない段階でやり方を教えても馬耳東風、猫に小判、豚に真珠(失礼)で終わってしまうことがほとんどなのです。
人はその大切さを深く納得してからでないと、真剣に学ぼうとしません。
だから最高のノウハウを提供しても、うわの空でスルーしてしまいがちなのです。
あるいは、「何」と「なぜ」を理解していないと、方法論を自分向けに応用させることができないのです。
ハウツーには即効性がありますが、大勢の人に千差万別の応用を示すには情報量が足りませんし、またハウツーは時代の変化と伴に陳腐化する性質があるのです。
だから、最終的にハウツーは各自が自分に合ったやり方にアレンジする必要があります。
こちらでアレンジの仕方まで面倒を見ようと思えば、もう「個人コンサル」しか手はないのです。
だから、そこまで求めない人たちを成功させるためにも、「何をすべきか」と「なぜそれが大切か」を教えておく必要があるのです。
これがリストを耕さねばならない理由です。
◆リストの資産化
そして、よく耕されたリストは、やがて大きな資産になっていきます。
つまり、その見込み客リストが、繰り返しリピートして買ってくれるロイヤルカスタマーのリストに成長していくのです。
よく教育されたリストは、「何をすべきか」「なぜ大切か」を腑に落とし切っていますから、「どうすべきか」が入ったコンテンツを繰り返し購入してくれるようになるわけです。
そして、ハウツーの智慧は顧客の段階によっても違ったものを出すべきだし、時代の変化によっても別のものを出し続けべきですから、長い幸福なおつきあいがそこから始まるのです。
それもこれも、すべては「リスト取りをする」というところが原点になります。
そしてリスト取りをし続けるためには、「なぜリストが大切か」を腑に落としておく必要がどうしてもあるわけです。
「リスト・イズ・ゴッド」これが「お客様は神様」という古典的な名句の現代的解釈になるというのが、私の結論です。
それではまた。