或夜(あるよ)の隼
きょうは新企画。
普段めったに公開しない、
遠江のリサーチ現場で、スマホに現地入力してきた文章を、
ほぼそのままにお届けします。
原則、誰も知ることのない遠江の隠れた生態をお届けし、
「富伝道ヴォイス」の制作舞台裏の一端をお目にかけましょう。
現地打ちのメモ文章公開なんて、
これはレア企画ですな。
それでは楽しんでこられたし!
◆現地レポート
池袋・無敵家に23:43到着。
もー引くぐらい30人は並んでいる。
前に並んでいる美女とネイマール並のイケメンカップルは中国人。
その前の男男女のトリオも中国人。
日本一の規模を誇る池袋ジュンク堂書店ビルの真ん前。
ラーメン激戦地・池袋でも一番人気店・無敵家の前におります。
◆店外
終電に間に合わないのを承知で列に並び、リサーチを続けるスウェット上下の私。
30人の最後尾まで事前注文を取りに来る、エグザイルくずれの、手拭い頭の店員。
「ご注文は?」と訊かれ、
「一番人気は?」と切り返したら、
事前リサーチで一番と見た「本丸麺(ほんまるめん)」ではなく、それより250円も高い「肉玉麺(にくたまめん)」を勧めてきた。
こやつ、一番高いやつを。
「一番人気は本丸麺じゃないの?」とリサーチ成果を誇示すると、
「いや、一番人気は肉玉麺!」と心外そうに断定してきたので、「じゃそれで」とあっさり折れる私。
郷に入れば郷に従えだ。
◆外人、ジンガイ、外人
しかし、さっきから20分も並んでいるのに、なぜ私の後ろにタレモナラバナイ?
「ソンナにワタシコワイか」
と中国人風に心の中で叫んだら、いきなり4人後ろについた。
ふっふっふ。思いは実現するのだよ。
しかも、最後尾のトリオのうち、2人は白人のカップルだぁ。(驚)
どんだけ外人率多いんだよ!
前のイケメン中国人はiPhone5を見たあと、美女を後ろから抱きしめて軽く腰を振っておる。
無礼者!
日本男児をなんと心得る。
と腹の中で怒鳴ってると(注:教導の怒り)、「おひとりさまこちらへ」と、15人抜きでカウンター席に案内された。
すごくない俺?
思いがどんどん仕事してる。
◆店内
いやー、それにしてもカウンターの並びはヤングばっかりだわ。
「ヤング」って。
おっさん古いよ。
一つ空けた隣の奴なんか、蟹味噌ラーメン食ってる。
ハタチそこそこで蟹味噌だと?
わしらなぁ、キミらの歳にゃぁ百円の素(す)ラーメン食って語り明かしてたもんだ。
と心の中で説教してたら、肉玉麺が来た。
◆ラーメン
なんとっ!
上に乗ってる海苔に、白い文字が達筆で浮き出ている。
「ようこそ 無敵家へ
Welcome to MUTEKIYA
你好(ニーハオ)歓迎 無敵家」
と三段打ちだぁ。
こりゃ珍しい。
そしてラーメンは?
いやまず目を引くのは、
厚さ1センチはあろうかというチャーシュー、チャーシュー、チャーシューの三連弾。
さすが肉が丸いっ!
肉丸麺っ!
あ、違う肉玉麺。
そして、味な味玉。いい色に漬け込んである。
そうしてスープに太麺。
食べれば、旨し!
なかなか上品な味じゃないか。
◆考察
、とここで立ち止まって考える。
…待てよ、この午前零時に、大都会池袋で、ここだけ引くほど人に溢れている理由はなんだ?
ラーメンは美味いが、まぁ、わかる人にはわかる博多一風堂レベル。
も一回来たくなるバーは越えてるが、驚くほどではない。
なのに、なぜに中国人、白人、日本ヤングをここまで惹きつける???
しばし黙考。
…わかった。
海苔だ。
こいつだけ、くっきり他と差別化されている。
この海苔だけは見たことない。
この、全国のラーメン店をそこそこ食べ歩いてきた隼様も、印刷された海苔などお目にかかったことはなし。
なんだ?この加工。(「なんだ?」は尻上がりの疑問形)
しかも、食べるのは惜しいので、ずっと海苔を残したままラーメンをすすると、
そのあいだじゅう、
ようこそ 無敵家
Welcome to MUTEKIYA
你好歓迎 無敵家
の文字がこっちを見つめている。
海苔に白く浮き出る和・洋・中のメッセージ。
こりゃ話題になるわな。
「こりゃ、日本ヤングも白人も中国人も口コミするわ。」
と手を打った。
「あそこ美味いぜ」
「Yeh! It’s Delicious」
「アソコノラウメン、ウマイアルよ」
なーんて、各民族ごとに口コミってるはずだ。
あいつら、海苔のサブリミナル効果など気づかずに、ラーメン旨いしか言えないんじゃね?(尻上がり疑問形)
くっくっく。
だから、ここに来るのはみんな仲間連れ。
いわゆる旨い店に並んでいる、味にうるさい地味おじさんや、ナップサックかけた単独青年たちではないのだよ、ここの客層は。
みーんなつるんで来てるだけ。
いわゆる観光名所。
そーか、なるほど、そこを狙っていたか無敵家ーっ!
見破れリ、無敵家商法。
海苔の差別化という一点突破で、ここまで集客しやがってんの(一心太助風)。
この海苔が富を引き寄せたかーっ、と思いながら最後に海苔を食べたら、しっかり海苔の味がした。
そして、スープを一滴も残さず完食。
あー体に悪い。
そして1,050円払って店を出て、足早に改札口をくぐり、飛び乗ったのは、
15人抜きのかいもあって、ぴったし最終電車でした。
◆そして
「Mother」に流した涙の跡も乾かぬうちに、夜の11時過ぎに家を抜けだして、
深夜の大都会をリサーチしては発見を貯め込んでいる、
そんな少し大柄の隼が、人知れぬ努力の積み重ねに、やがてそれを発酵させて、
生まれいづるのが、「富伝道ヴォイス」の語りなのです。
きょうは舞台裏。
出すときは表舞台。
これは書斎では絶対書けない、ネタ仕込みの現地レポートでした。
含蓄深いよー。
(※リサーチは午後にやるのがほとんどです)