ほんとうにいい仕事になる条件とは何か
遠江(とおのえ)です。
いま『下町ロケット』という阿部寛主演のテレビドラマが、社会現象的な人気を博しています。(2015年11月末現在)
これはロケット打ち上げという難事業に挑戦する中小企業の物語であり、いわゆるNHKの『プロジェクトX』をドラマ化したようなものです。
なぜこのドラマに人気が集まり、人々の感動を呼んでいるのでしょう?
それは「ほんとうにいい仕事とは何か」というテーマがあますところなく描かれているからです。
「ほんとうにいい仕事」とは、「多くの人に喜ばれ、しかしその実現に幾多の難関があり、それまで誰も成しえなかったこと」だと私は考えています。
アポロを月に着陸させた仕事も、明治神宮を全国からの献木で成し遂げた仕事も、世界宗教を立ち上げた仏陀の仕事も、その意味でほんとうにいい仕事だと思います。
どれも簡単な事業ではなかった。
誰もがそれは無理だと考えた。
そんなリスクを負って挑戦はできないと尻込みした。
そんな課題に果敢にチャレンジし、苦闘の末にやってのける人間の営為に、人は感動し賛辞を惜しまないのでしょう。
そういう仕事をほんとうにいい仕事といいます。
◆ブルーオーシャンとレッドオーシャン
マザーテレサならこう言うでしょう。
「ほんとうにいい仕事とは、採算など度外視した、与えきりの奉仕なのです」と。
それも一理ありましょう。
しかし、現代のような成熟市場においては逆のことも言えるのです。
「いま大きく儲かるのは、ほんとうにいい仕事だけである」と。
みんなが「それはいいね」と言って簡単に参入してくる仕事は、意外にすぐ飽和して難しい営業を強いられます。
いわゆる「レッドオーシャン」という、競争で血まみれの海になってしまうのです。
逆に「ああこれはニッチだな」と思って参入しても、そこには無名でけっこう手強いライバルが、しかも複数潜んでいる場合もあります。
みんな考えることは同じなのです。
あるいは、ここは絶対ライバルがいない海だとと確信して、ブルーオーシャンを泳いでいたら、客もぜんぜんいなかったということもあります。
だからイージーモードで楽して儲けようと思っても、そうは問屋が卸さないことが多いのです。
◆ほんとうにいい仕事になる条件
ではどうしたらいいのか?
私は、やる意義があって、しかも実現が難しい仕事にあえて挑戦すべきだと考えています。
「これはやったら喜ばれるだろうな」、「しかし、やるとなるとかなりたいへんだな」というものが、本当にいい仕事になる条件だということです。
「何」をすべきか、「なぜ」すべきかが明確にあり、しかし「どうやって」が簡単に見えない仕事こそ、思い切ってチャレンジすべきなのです。
なぜやるべきと言い切れるのか?
それは、やってのければ大勢の人が喜ぶ仕事からです。
これが大義名分の観点。
しかも、ライバルが簡単には入ってこれない参入障壁が高い仕事だからです。
これが経営的観点。
この2つが申し分なく揃っている仕事は、やってのけさえすれば必ずいい仕事、かつ、大きく儲かる仕事になります。
あとは、「どうやってこれを解決するか」これだけに全力を挙げればいいのです。
ただ、どうしても勝ち目はないとしか思えないなら、引き返すのもいいでしょう。
玉砕は勧めませんので。
難しいが、やってみるだけの価値はある、と思える人だけがこの門をくぐりましょう。
狭き門ですが、この門の向こうに「ほんとうにいい仕事」の世界が、そして戦いが待っているのです。
◆引き寄せの法則
私はしかし、人間の営為を信じています。
「ほんとうにこれはやらねばならぬ」「絶対やりたい」「いや、やってみせる」このような強い念いのもとには、必要な方法論が集まってくると思っているからです。
「何」をすべきか、「なぜ」すべきか、が明確であれば、「どう」すべきかは引き寄せられてくるということです。
しょせん方法論などそんなものです。
そして方法論がなければ決して成功しないものでもあるのです。
この感じ、伝わるでしょうか。
私も拙いながら、そんな経験を過去にたくさんしてきました。
ブラジルで、キリスト教徒を相手にエル・カンターレ信仰を伝道したときなどが、いちばんわかりやすい例でしょう。
エル・カンターレ信仰とは、幸福の科学の大川隆法が地球神であることを信じる信仰です。
これをキリスト教徒が90%の国で弘めようというのは、普通に考えて難しいと思うでしょう?
外部より内部を説得する戦いのほうがキツかったと言っておきます。
しかし、みんなを説得して果敢に挑戦したら、二年半で一万五千人の伝道に成功したのです。
「絶対にやりたい」「必ずやってみせる」という強い念いのもとに、協力者や方法論が集まって達成できたことです。
◆結論
このように「何」と「なぜ」が固まっていれば、「どうやるか」は頑張っていればなんとかなるものです。
だから、「どうやるか」が見えないからといって、諦める必要は必ずしもありません。
それより大事なのは、「それをやったらみんなが喜ぶか」ということのほうです。
そう考えて、全身全霊でチャレンジした人たちがいたからこそ、世界は発展してきたのです。
『下町ロケット』や「プロジェクトX』に人気が集まることを、私はひじょうに好もしく思っております。
「人間、捨てたもんじゃないな」と素直に思えるのです。
だから、これからもほんとうにいい仕事を追求していきたいと思います。
それではまた。