東京ディズニーランド考察記

遠江(とおのえ)です。

昨日(2015年12月8日)、約1年ぶりに東京ディズニーランドに行ってまいりました。

この『富伝道ランド』というサイトは、略称が「TDL」で「智慧のテーマパーク」を謳っておりますので、東京ディズニーランドとは少なからぬ縁を感じております。

そんな私が丸一日東京ディズニーランドに居て、感じたこと、発見したことが少しくありますので、きょうはそれを忘れないうちに述べておきたいと思います。

まず前提知識として、2カ月前(2015年10月1日)の発表で、東京ディズニーは入場者減となり、USJは過去最高になったというトレンドがあります。

USJの2015年上半期(4〜9月)の入場者数は、前年同期比18%増の657万人で過去最多です。

一方、東京ディズニーランドと東京ディズニーシーの2015年上半期の入場者数は、前年同期比4.8%減の1,437万人です。

減った原因として、①夜のショーが2年目に入り収穫逓減した、②天候不順、③両パークとも4月に値上げした、ことなどが報道されています。

まず、このことについて私の見解を述べます。

◆ティズニー不調の3原因

③の値上げに関してはまだしも、①夜のショーが二年目に入ったとか、②天候不順というのは、USJだって似たような条件でやっているわけですから言い訳にしかすぎないと思います。

私が見たところ、ディズニー不調の原因は3つです。

1、施設と装置系のすべてが開園30年を超えて老朽化している。

2、キャストのモラルが以前ほど高くない。

3、ソフトがUSJに比べ古い。

いずれものっぴきならない問題点です。

が、これらは非常に高いレベルでの指摘になりますし、東京ディズニー自体「入場者減」といっても、上半期1,437万人という数字は過去3番目に多いわけです。

ちなみに昨日の東京ディズニーランド体験は、そういう逆風が吹いているとはいえ、やはりひじょうに楽しめましたし、また行きたいという魅力は十分に備えていたことをご報告しておきたいと思います。

つまり、十二分な実力をいまだに備えている東京ディズニーランドが、USJという手強いライバルを迎えて、より高度なイノベーションを要求されているという文脈なのです。

そこで、私はディズニーを応援する意味も込めて、以下、単なるファン目線ではなく、智慧の視点から愛ある考察・提言をさせていただきたいと思います。

◆施設・装置系の老朽化

今回、随所に施設・装置系の老朽化を感じました。

定番アトラクション「カリブの海賊」は、まったく人気がなくなっており、寂しかったです。

「カリブの海賊」はウォルト・ディズニーが創設に関わった最後のアトラクションで、30年前になんとディズニーランド建設費用の十分の一もの大金をかけてつくったものですが、一世代経つとさすがに古さが目立ちます。

マイナーチェンジでジャック・スパロウを登場させたりはしていますが、同じような人形たちが同じような動きをし、同じような音楽を奏でていますので、永遠の地獄に閉じ込められた気がして、ちょっとやるせない感じが否めません。

他にもトゥモローランドは未来がテーマなのに、30年経つと過去の遺物というか、どこにも行けなくなった過去の未来想像図を見せられているみたいでわびしかったです。

「カリブの海賊」はまだしも、トゥモローランドは全面的に造り替えるべきと思います。

東京ディズニーランド側では、2年後までにファンタジーランドに「美女と野獣」と「ふしぎの国アリス」の2アトラクション新設を決めているようですが、過去回帰だけでなく、「未来開拓」に取り組まないと、USJの怒涛のイノベーション力に太刀打ちできなくなる可能性があります。

「古きよき時代」の丁寧な再現はディズニー根幹のブランド価値として大事にしつつも、2割程度の「未来チャレンジ」部門を育てておかないと、いずれ新興勢力に押しまくられる危険性を感じます。

今後10年間で5,000億円もの投資ができる資金力があるのなら、保守的なものに8割費やしたとしても、2割は革新的な挑戦に投資したほうがいいと、私は考えます。

◆キャストのモラル

決していまの東京ディズニーが低いと言うつもりはありません。

頑張っているのだと思っています。

しかし、ファインプレーをするキャストの数は明らかに減っていると今回感じました。

たとえば掃除スタッフ。

数年前に訪れたときは、水たまりの水を使って箒(ほうき)でミッキーの絵を書いて、われわれを驚かしてくれるような、サプライズを掃除スタッフが随所に提供してくれましたが、今回見る限り、掃除スタッフはただ掃除をしているだけでした。

あるいは、ワールドバザールでピアノを弾いていた外国人エンターテイナーは、いにしえのディズニーマインドを全身全霊で発揮して周囲に人の輪をつくっていましたが、多くのスタッフからはわずかに「規制マインド」のほうを感じました。

つまり、「これはやらないでください」「それはできかねます」というマインドがほんのわずかではありますが、漂い始めているのを感じます。

「エンターテイメントより規制のほうが好き」というのは、実は日本人の特質であり、悪気はなくても放っておいたらだんだんそうなる類のものなのです。

つまり、マネジメント側が不断のエンターテイメント・マインドを放射していないと、ただ真面目に仕事をしているだけでは、キャストのエンターテイメント・モラルは低下していくのです。

ウォルト・ディズニーがディズニーランド開園当初、ランドに泊まりこんで、日中はあらゆるキャストに声をかけ、尋ねていたような(実質はさり気なく教育していた)、伝道師としての情熱が要るのです。

USJがハリー・ポッターのアトラクション新設で、ディズニー超えをしようとする息吹きのなかで、キャストのモラルが上がっていますから、ディズニー側も自分のやり方でけっこうですから、セブンイレブンの総帥・鈴木敏文ばりの従業員教育(押しつける意味ではない)をするべきと思います。

◆ソフトの古さ

これは先ほど述べた「未来開拓への投資」如何に関わるものだと思います。

つまり、手慣れた手法のさらなるブラッシュアップ、というのはブランド構築の王道なので、それに投資するのはいいのです。

しかし、2割のチャレンジ部門に実験的投資をすることを忘れると、必ず事業は陳腐化します。

将来、巨大な富を生む樹というのは、最初は海のものとも山のものとも知れないものなのです。

しかし、そこにアイデアを持ち、ひらめきを得、智慧のアウトプットをしていこうという部門にお金を回さなければ、新規開発に成功することはありません。

ここのところのディズニーにはそこが足りないように思えてならないのです。

一方、USJのほうは新進気鋭の取締役を前面に立てて、彼がかなり思い切った実験的なことも手がけて、それを大きな収入の柱にすることに成功しています。

そういうことをやれる革新的な起業家人材はそう多くはありません。

そういう人物を見つけたら、そこに権限を与え、一定の資金を与えるべきです。

そうしないとソフトの古さが長期低落傾向を招き、30年後のディズニーがどうなっているかわからないというのが、私の予想です。

◆むすび

以上、ディズニーには少々耳痛い提言となりました。

しかし、今回の東京ディズニーランド体験が、おもしろくなかったというわけでは決してありません。

昼のパレードの白雪姫や、ワールドバザールでピアノの弾き語りをしていた外国人エンターテイナー、クリッターカントリーの「手漕ぎいかだ」を回しているスタッフたち、そして圧巻のエレクトリカルパレードシンデレラ城のライトアップ「ワンスアポナタイム」など、素晴らしいエンターテイメントで私たちは十分に楽しみました。

創始者のウォルト・ディズニーには、このような地上天国を創りあげた叡智に、永遠のリスペクトを捧げるものであります。

どうかこれからも世界中の人々に夢と勇気を与えてください。

心からのファンより。

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2 Responses to “東京ディズニーランド考察記”

  1. 吉崎富士夫 より:

    オリエンタルランドの吉崎富士夫と申します。ぜひこの情報は社内でも共有させていただきたいと思います。ご指摘誠にありがとうございました。感謝 合掌

  2. より:

    一般のディズニーファンです。赤ちゃんの頃から毎年ディズニーリゾートに訪れています。
    うまく言えませんが、、、ファンから見ても、変わらずTDRは大変魅力的な場所なのですが、やはり最近のUSJ等の勢いを見るともどかしい気持ちになります。
    ネットでも「ネタ切れか?」「手抜きか?」という声も少なくないですし、、、私ももう少し新規開発に力を入れて、”攻めて”ほしいです。
    もちろん古くからあるディズニーらしさも残してほしい気持ちもあります。特にキャッスルショーは、シンデレラ城を使うことで華やかさと貫禄も出ますし、クールザヒートとビバマジックは当時かなりリピーター以外に受けが良かったです。
    現在はワンスアポンアタイムのセットの問題等で難しいとは思いますが、いつかまたキャッスルショーを見られる日を心待ちにしております。たかが一般人が長く、偉そうに申しわけありません。ですが、それだけディズニーが大好きですし、もっと高みを目指してほしいと思っています…!

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